「小さな成功で満足するな」
なぜ、自分が金持ちではないのか、ということを真剣に考えたことがあるか? 働いても働いても、自分の生活は「ラットレース」で、どこまで行っても楽にはならない。これからの時代、年金は減り、死ぬまで働かなければならないというのに、目標もなくモタモタしている人が余りに多過ぎる。
「自分は金の事なんか、まったく・・・」と言う人がいる。これこそ愚鈍でなければ、虚言と言うべきであろう。私は是川翁のカバン持ちの頃から、「人間はまず10億円くらいの資金を自分の才覚で作ってみなさい」と常々言われてきた。みんなも私にこう言われたことを、必ずや思い出す時が来るはずだ。
世の中には金を小馬鹿にしたがるような人もいるが、金を馬鹿にしてはならない。金を馬鹿にする人は、いつか金からキツイしっぺ返しを喰うことになる。こんな大事な金なのに、本気で資産づくりに勤しんでいる人は、とんと見かけない。目標もはっきりしないまま、なんとなく毎日を過ごす人の多い事。
そのためにも、まずは自分の天分を知るべきである。相場でも明らかに失敗と気が付いたら、素直に屈すべき時は屈し、伸びしろがある時には全力で伸ばす。買い方や売り方が力をふるう場面では強いてこれと争わず、むしろ相乗りをしてその成功を妨げない事。さらにこれを助長して、他日の機会を静かに待てばよい。
仏源禅師の名言に「君子は財を惜しむ。これを用いるに道あればなり」という教えがある。「商人と屏風は曲がらなければ立たぬ」と言う俚諺もある。時間の空費や浪費は、自分の生涯の一部を捨てているようなものだ。これを読んだら、今日一日は満足できる一日であったかを、もう一度思い出してほしい。